学会長挨拶

第33回 福岡県理学療法士学会 学会長
平川 善之

(福岡リハビリテーション病院 リハビリテーション部統括部長・医療統括部長)

「知見の集積と共有そしてアドヒアランスへ」

近年、様々な研究成果と医療技術の革新が結びつき、多くの疾患で新たな病態解釈に基づいた治療概念が提示されています。

しかしその一方で、我々の対象者は、自身の疾患や体調に対し不安などの負の感情を抱いていることが多いのも事実です。そして、そうした負の感情が治療効果に直接的に影響する事も判ってきています。我々には、こうした対象者に対し、その病態や実践すべき治療等を、十分な理解が得られるように説明・教育することにより対象者の能動的な治療参加を促し、共に望まれる目標に進んでいけるよう誘導する役割があります。このように「対象者が能動的に治療方針の決定に賛同し、その決定に従って治療を受けること」をアドヒアランスといいます。
どんなに素晴らしい最新の評価や治療の知見も、アドヒアランスの形成があって初めて対象者に還元されるものであると言えます。技術革新が続く今だからこそ、治療者側の知見と対象者側の理解という両輪が備わって、理学療法の現場が前進することが望まれます。

こうした視点から、第33回福岡県理学療法士学会のテーマを「知見の集積と共有そしてアドヒアランスへ」とさせて頂きました。本学会への参加を通じ、多くの現場で、理学療法士と対象者 双方の歯車がしっかりとかみ合い、お互いが手を取り合って共通した目的のもと、それぞれの歩調で前進していくことの基となることを祈念します。

第33回大会は7月13日(web)14日(対面 福岡国際会議場)にて行います。まぶしい夏空の下、皆さんにお会いできることを楽しみにしております。